お客様へのGHG排出量開示で競争力強化に確かな手応え!歩幅を合わせる支援とともに目指す、ケルの企業価値向上とは


お客様へのGHG排出量開示で競争力強化に確かな手応え!歩幅を合わせる支援とともに目指す、ケルの企業価値向上とは
お話をうかがった方(肩書は取材時)
コーポレート本部
サステナビリティ推進部 部長
加藤敦子 様
サステナビリティ推進G 課長
川和理恵 様
「2050年カーボンニュートラル社会」の実現に向け、気候変動・脱炭素社会への対応が急務となる中、製造業中心にGHG(温室効果ガス)排出量の算定・可視化から削減への取り組みが求められています。サプライチェーン全体で削減するには、自社の排出量(Scope 1,2)のみならず、サプライチェーン上の他社の排出量(Scope 3)までの算定が必要となり、その煩雑さに苦労する企業も少なくありません。
そこで今回は、Scope 3の算定やお客様への排出量開示対応、企業価値向上を見据えたサステナビリティを全社で推進している、産業用コネクタメーカーのケル株式会社(東証スタンダード 証券コード:6919)に話を伺いました。-
課題・背景
- 有価証券報告書や国内外のお客様へ排出量の外部開示をしたい
- 複数のお客様が作成したExcelツールに情報を入力して排出量を回答していたが、弊社としての排出量算定・管理を一元化したい
- 企業価値向上のために会社としてサステナビリティを推進したい
-
ゼロボードに決めた理由
- システムとコンサルティングを含めての利用料が魅力的だった
- システムに関する特別なノウハウがなくとも精度の高い算定ができる
- セミナーの開催やユーザーコミュニティによって情報収集ができる
-
導入後の効果
- 弊社内にあるデータを基にインポートを行うことで、Scope 3の効率的な算定業務が実現できた
- 国内の営業・生産拠点から収集したデータは既に整理されており、Zeroboardに入力することで迅速な可視化が実現できた
- 排出量開示が競争優位性につながり、営業活動へ貢献できた
- 機能の充実により、環境指標管理に本格的に取り組む道筋が見えた
──Zeroboardを知った経緯と、算定システム導入を検討されていた背景を教えていただけますか。
加藤敦子 様(以下、加藤様):担当役員の意向のもと、私がISO担当部署から異動し、当時の部長と共にサステナビリティ推進部の立ち上げを担いました。2023年夏の展示会に赴き、ゼロボードのセミナーを聞いて興味を持ち、ブースに伺ったのが最初です。
当時、GHG算定システムを検討したのは、2015年頃お客様から排出量開示の要請が届き始めたことが大きなきっかけです。これまでは、お客様から送られてきたExcelに活動量を入力して対応していました。しかし、その方法では弊社の実態を十分に反映した算定ができていなかったため、弊社の基準に基づく正確な排出量を把握し、それを開示に活用したいと考えました。
システム+コンサルティングの料金が魅力的!歩幅を合わせる丁寧な伴走支援とユーザー同士のつながりに価値
──Zeroboardを選んだ理由をお聞かせいただけますか。
加藤様:3社のサービスを比較検討した結果、Zeroboardの導入を決めました。コンサルティングが必要だと思っていたので、システムとコンサルティングのトータル料金を見た時に内容とのバランスが一番魅力的でした。他にもセミナーを積極的に実施されているほか、ユーザーコミュニティ「All Aboard!」でユーザー同士つながることができて、色々な企業様の取り組みを知ることができるのも魅力でした。
弊社はISO14001(環境マネジメントシステム (EMS) の国際規格)を取得しており、すでにエネルギーデータは社内でまとまっていました。それをインポートすることで、算定をシステム化し、全社で連携できる体制を作りたいと思っていました。
川和理恵 様(以下、加藤様):機能面では、算定以外に環境指標の管理にも取り組みたかったため、それにも対応できそうだったことと、色々な機能を使えることが魅力でした。
――Scope 1〜3までの算定のために導入いただきました。実際に利用し、支援を受けてみていかがでしょうか。
加藤様:2023年11月に導入しましたが、エネルギーデータはまとまっていたのでScope 1,2は2〜3ヶ月で算定が完了しました。Scope 3の上流については会計データを用いたのですが、何が必要で何が不要かなど、当時の担当の方に大変丁寧にご支援いただき、スムーズに算定が進みました。
川和様:今は主に、私がScope 3の下流の算定を担当しています。サステナビリティ推進部はESG全般に対応するため、集中して忙しい時期もありました。支援担当の小川さんによる、私たちの歩幅に寄り添うようなコンサルティング支援に、とても満足しています。それに小川さんは「分からない」を言いやすいお人柄で、相談しやすく、今ではなくてはならない存在です(笑)。
Scope 3の下流はシナリオ策定の支援を受け全体像を把握する算定は完了しましたが、精度を上げていくことがこれからの課題です。
加藤様:今はまだ取り組めていないScope 3の上流の精緻化にも着手したいと考えています。取引先との連携の必要があるので、理解を得ていく活動が重要になると思っています。
インタビューに答える加藤様(左)と川和様(右)
お客様への排出量開示で競合優位性を創出、有価証券報告書での開示で信頼感の醸成。外部開示対応がZeroboardで容易に
──もともと持っていた課題については解決でき始めていますか。
加藤様:CFP(Carbon Footprint of Products)算定はこれからですが、欧州のお客様からは既に開示を求められています。データ取得には時間を要しており、現時点での算定は難しい状況です。ただし、データを提示できないことで取引に支障が出る可能性もあるため、営業部門がスムーズに説明できるよう、組織全体の算定結果をもとに按分した推計データを開示しています。
川和様:ある欧州のお客様の場合、WEB上で見積書を提出する際に、GHG排出量を定量数字で入力しないと、そもそもシステムが開かない仕組みになっていることがあります。そのくらい排出量は重要視されています。
加藤様:そういった背景もあり、まずは対象製品を絞り込み、そこからCFP算定を始めたいと思っています。
川和様:Zeroboardはシステムに関する特別なノウハウがなくとも算定に取り組めて、今求められているデータを開示できます。有価証券報告書においても、独自で対応するよりも精度の高い結果を「可視化システムを用いて算定した」と示すことで、信頼性の高い開示が実現しました。
加藤様:今期、以前から連携していたISO担当部署と同じ組織となり、まとめられていたエネルギーデータを活用して、効率的な排出量算定の体制を構築できました。具体的には、ISO担当部署からエネルギーデータを取得し、そのデータを私たちがZeroboardに入力して排出量を算定するという、効率的な社内連携体制を確立しました。
ただ、「なぜ今、GHG排出量算定に取り組まなければならないのか」については、まだまだ社内での理解が十分ではありません。そのために「環境サステナブル会議」を実施するなど社内浸透にも努めています。
GHG排出量の開示については、Zeroboard を導入して算定体制を整備したうえで、2023年度の有価証券報告書から始めています。国内拠点のScope 1,2の削減目標は2024年度の中間報告書で開示しており、Zeroboardの目標設定機能を活用しました。
──算定がひと段落した後、削減にはどのような取り組みをされていますか。
加藤様:昨年は、各拠点での省エネ活動に加え、「やれることからやろう」という方針のもと、照明機器のLED化や本社の空調設備の更新を実施しました。 今後、これ以上の削減が難しくなった段階では、グリーン電力への切り替えも検討したいと考えています。
また、弊社は製造業であるため、残業削減や効率の良い機械導入、廃棄物削減など、生産性を高めながら電力消費を抑える取り組みを進めていきます。
ケルの主力事業であるコネクタ
コネクタの組み立てラインの様子
ユーザーコミュニティでの出会いが相互協力のきっかけに。ESG領域にまたがるマテリアリティに取り組み企業価値向上を目指す
――導入の決め手に挙げていただいたユーザーコミュニティ「All Aboard!」ですが、その中で何か新しい気づきや出会いなどありましたか。
川和様:定期開催される新機能紹介説明会では、毎回たくさんの機能が追加されていることに驚きます。ユーザーの声をもとに機能がどんどん改善されていくので、何か弊社でも活用できる機能がないか模索しています。ここは支援担当の小川さんと相談したいところですね。
また、同じ立場のユーザー企業の方々と横のつながりができることも大きな魅力の一つです。同じ地域の企業と「All Aboard!」を通して出会い、地域貢献活動を一緒に取り組みたいという話もしています。また、社内浸透活動としてカードゲーム「2030 SDGs(※)」を行う際に、同じく「All Aboard!」で知り合った別の企業の方をファシリテーターとして招いたこともありました。こうやって輪が広がっていくのがありがたいです。
グループ横断で進める脱炭素と今後の展望
――それは素敵なつながりですね!コミュニティがユーザー様同士つながるきっかけになって嬉しいです。最後にサステナビリティ推進について、今後の展望をお聞かせいただけますか。
加藤様:この部署を立ち上げる時に「サステナブルビジョン」を策定しました。ESG領域のマテリアリティに沿って活動しています。
環境面では脱炭素や資源循環がステークホルダーから求められている重要なテーマとなっており、これらの課題への対応を進めています。また、社会面では、社員の満足度、健康経営、ダイバーシティ、人材育成にも取り組み、企業価値向上を目指しています。人事などの関連部門と役割をすみ分けしながらも、連携して、サステナビリティ推進部でできることに取り組んでいます。
ISO取得の際から弊社の環境への取り組みは始まっています。現在は、ISO担当部署と同じ組織となり、各部門にはISO部門責任者を置いています。今年、ISO担当部署と共に20年ぶりに環境方針を刷新しました。「廃棄物削減と省エネ推進」「環境に配慮した製品開発・製造・販売」「自然環境保全への貢献」「環境意識向上と透明性ある活動」の4つの軸です。今回新たに自然環境について触れました。本社のある多摩市の豊かな自然の保全にも貢献できればと考えています。
お二人が深く携わり刷新した環境方針。社内の各所に掲示されており、一人ひとりが意識できるようになっています
――引き続きお力添えできればと思います。本日はありがとうございました。
(※)カードゲーム「2030 SDGs」:一般社団法人イマココラボと株式会社プロジェクトデザインが共同開発した、SDGsの17の目標を達成するために、現在から2030年までの道のりを体験するゲーム
記載の内容は、2025年6月に取材した内容です。

株式会社ゼロボード カスタマーサクセス本部
支援実績:未上場企業からスタンダード市場企業まで、また主に製造業、物流業の企業様をサポート
ケル様の下流算定支援では、シナリオ設定に特に重点を置き、お客様と密に協議を重ねながら進めさせていただきました。ケル様が中間製品メーカーであるという事業特性を踏まえ、最終製品からの按分計算など、実態に即した算定手法の選定に細心の注意を払いました。
今後は各拠点の担当者様がZeroboard上でScope 1,2データを入力できる運用体制の整備に注力いたします。また、ケル様の事業展開に応じたZeroboardの機能活用をご提案し、継続的なご支援をさせていただきます。

