「リスク管理」から「バリューチェーンの共創」へ。6事業部を横断し、栗本鐵工所がDataseed SAQと描くサプライチェーンの未来
「リスク管理」から「バリューチェーンの共創」へ。6事業部を横断し、栗本鐵工所がDataseed SAQと描くサプライチェーンの未来
お話をうかがった方(部署・肩書は取材時)
サステナビリティ推進室 サステナビリティ推進部
上嶋 優矢様
宮田 啓吾様
上下水道管や産業用機械、建設資材などを製造・提供する総合インフラメーカーとして、社会の基盤を支え続ける栗本鐵工所。プライム上場企業としてサプライチェーン全体のリスク管理がこれまで以上に重要となる中、同社が目指すのはSAQ(自己評価アンケート) を通じた単なる「管理」ではなく、調達先と手を取り合う「バリューチェーンの共創」でした。6つの事業部を横断する2026年度の本格展開に向けた同社の取り組みと、今後の展望について、サステナビリティ推進部のお二人にお話を伺いました。
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課題・ 導入背景
- ESG・人権対応の高度化に伴い、サプライヤーからのSAQ回答要請が増加。自社としてもサプライチェーン全体のリスク把握・管理体制の強化が急務に
- ExcelやWEBアンケートでの運用では、配信・回収・リマインド・集計などの実務負荷が大きく、グループ会社への展開を見据えた継続的な運用に課題
- サプライヤーへの負担にも配慮しながら、単なるリスク管理にとどまらない「バリューチェーンの共創」を実現する仕組みの必要性
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Dataseed SAQに決めた理由
- アンケート配信・回収・進捗管理・リマインドを一元化でき、実務負荷を抑えた運用が期待できる
- 専門家の伴走支援により、自社とサプライヤー双方に配慮した適切な設問設計や段階的導入の方針を描けた
- GHG算定ツール「Zeroboard」の導入実績がすでにあることから、社内浸透・稟議の進めやすさも評価
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導入効果・今後期待される効果
- トライアル運用を通じて、サプライヤーが回答しやすい仕組みを確認し、グループ会社への展開に向けた運用イメージを整理
- 今後は、回収データを活用したサプライヤーとの対話・フィードバックにより、エンゲージメント向上とリスク低減を両立していきたい
- SAQを「一過性のアンケート」ではなく、サプライチェーン全体のリスク可視化と経営判断に資する情報基盤として活用を目指す
高まる開示要請と、膨大な実務負荷への懸念
── サステナビリティ推進室の役割と、今回の取り組みの背景について教えてください。
上嶋様: 当社は複数の事業分野を展開する事業体として、水・インフラをはじめとする社会基盤分野から産業基盤分野まで幅広い領域で事業を展開しています。サステナビリティ推進室では、TCFDやCDPといった社会からの開示要請への対応に加え、全社的なサステナビリティ活動の社内浸透や、統合報告書などを通じたステークホルダーへの情報発信を担っています。
SAQの導入にあたっては、私がシステム導入を中心に、経験豊富な先輩社員の知見を得ながら全体的な仕組みづくりを担当し、宮田がSAQの主担当として、アンケート内容の検討や実際の配信・回収、各事業部の調達部門への展開に向けた調整など、実務のエンジン部分を担っています。
近年、国際的な人権・環境分野の要請が高まる中で、当社に対してもお取引先様からSAQの提出依頼が増加しています。また、グループ方針としてもサプライチェーン全体のリスク把握と管理体制の強化が急務となっていましたが、私たちは単にリスクを「管理」するだけでなく、サプライヤーや協力企業の皆様を大事にし、一緒に「バリューチェーン化(共創)」していきたいという強い思いがありました。
サステナビリティ推進室 サステナビリティ推進部 上嶋 優矢様
── 今回、御社として初めてサプライヤー様へのSAQの配信・回収業務に踏み切った背景には、どのような思いがあったのでしょうか?
宮田様: 実は、導入前からSAQの実施については検討や準備を進めていましたが、サプライヤー様への配信・回収を含めた形で実施するのは、今回が初めての取り組みでした。
当初はグローバル・コンパクト作成の書式を使用し、Excelファイルの送付やWEBアンケートツールでの実施も検討していました。しかし、本質は質問をした後の回答分析と対策を協働することにあることに加え、これからの労働人口減少を踏まえると「実務負荷」に対する強い懸念がありました。Excelで実施する場合、数百社に及ぶサプライヤー様への依頼メールの送付、回収状況の確認、未提出先へのリマインド、そして回収したデータの集計・分析…これらすべてを手作業で行うことは限られたリソースの中で現実的ではありませんでした。 WEBアンケートツールを利用した場合でも、送付先の管理や未回答先の追跡を別途ファイルで行う必要があり、運用面での煩雑さは避けられないと感じていました。
実施する当社側の運用面で工夫が不可欠であることに加え、お答えいただくサプライヤー様への配慮、また、将来的なデューデリジェンス対応、今後グループ会社への展開を見据えると、作業ではなく初めから効率的かつ一元的に情報を管理できる【仕組み】の導入が不可欠だと判断し、システムの検討を開始しました。
現状、お客様などから当社へのSAQ回答依頼件数は年間40~50件でその多くはExcel形式です。設問内容によっては、各部署への回答依頼、収集と精査する作業には多くの工数がかかり苦労していました。この「回答する側の苦労」を身をもって知っていたからこそ、どのようにすれば負担をかけずにサプライヤー様へSAQを依頼し、かつ良好な関係を築けるか深く悩みました。
専門家との対話を経て方針転換へ
── 数ある選択肢の中で、Dataseed SAQを選定いただいた決め手は何だったのでしょうか?
上嶋様: 懸念していた「回収・リマインド」業務がシステム上で簡単に完結できる点です。また、GHG算定ツール「Zeroboard」の導入実績がすでにあったことは社内稟議を進める上でも、今後社内浸透していく上でも大きな後押しになりました。さらに、システムの改修や設問作成において当社と「伴走」して取り組んでいただける姿勢が大きな決め手となりました。
宮田様:専門家の知見を得られる点も大きかったです。当社にとって重要な設問のポイントや最近のトレンドについてアドバイスをいただきながら、当社の状況に合わせてカスタマイズできたことで、安心して導入を進めることができました。
── 実際の設問作成にあたっては、どのようなサポートがありましたか?
上嶋様: 設問の構築にあたり、ゼロボードの専門家の方と複数回打合せをさせていただきました。 実は当初、当社の要望を詰め込んだ「フルカスタマイズに近いアンケート」を一度構築していたのです。しかし、当社のサプライヤー様は会社の規模も方針も多様であり、SAQに回答し慣れていない企業様もいらっしゃいます。 専門家の目線から「サプライヤー様にどう受け取られるか」といった配慮のアドバイスをいただき、議論を重ねた結果、フルカスタマイズ版は一旦保留にしました。まずは段階を踏んで回答いただき、徐々にエンゲージメントを高めていくことが「バリューチェーン化」に繋がる。そう考え、より幅広い企業が回答しやすい「グローバル・コンパクトのサプライチェーン分科会」のSAQをベースに設問を再構築と、リスクとして重要な項目を厳選し、段階的に進める方針へと切り替えました。
自社の実情とサプライヤー様への配慮。そのバランスに悩む中で、専門家の方と真摯に議論を交わせたプロセス自体が、私たちにとって大きな学びの場となりました。
社内浸透のリアル:全6事業部の工場を巡る「対面ツアー」に込めた熱意
── 現在はサステナビリティ推進室を中心に運用されていますが、今後各調達部門へシステムを展開していくにあたり、社内の協力を得るためにどのような工夫をされていますか?
宮田様: 現場を良く知る先輩のメイン担当者と二人で、全6事業部のすべての工場を回る「説明会ツアー」を実施しました。オンライン会議も便利ですが、私たちの熱意や意図を現場にしっかり伝えるためには、やはり「対面」で話すことが不可欠だと考えたからです。
── 現場の方々には、どのようなメッセージを伝えられたのでしょうか?
宮田様: 調達部門の担当者は多くのサプライヤー様を抱え、日々非常に忙しくしています。そのため、単に「人権デューデリジェンスをやります」と伝えるのではなく、人権だけでなく環境や品質を含め自社活動の持続性と企業価値向上のための取り組みであることを強調しました。「これを一緒にやることがバリューチェーン化に繋がり、栗本鐵工所はより成長していく」というメリットを丁寧に説明しています。同時に、過去に起きた事例を資料に盛り込み、「やらないとどのようなリスクが起きるのか」という点も自分ごととして捉えてもらえるよう工夫しました。
サステナビリティ推進室 サステナビリティ推進部 宮田 啓吾様
導入の効果と展望:システムと専門家の「伴走」で実現する、タイムリーな情報開示
── 2025年度実施されたトライアル運用の状況はいかがでしたか?
宮田様: 2025年度は約50社を対象に実施しました。回答率を上げるためにシステムからの通知だけでなく、当社のメールアドレスから個別にリマインドを送るなど試行錯誤しながら運用しました。 回答する側の視点で言うと、三択などで直感的に回答していく形式であるため、サプライヤー様にとっても負担なく回答しやすいシステムになっていると感じています。
上嶋様: 一方で、分析画面の視認性において改善していただきたい点もありました。この要望を御社にお伝えしたところ、迅速にバージョンアップが行われました。単なるツール提供にとどまらず、ユーザー目線で一緒にシステムを育てていける点は、導入時の期待通りでした。
── 今後、回収したデータをどのように活用し、社内展開していく予定でしょうか?
宮田様: 結果を集めて終わりではなく、サプライヤー様への「フィードバック」も重要です。対面でのコミュニケーションを残しつつも、Dataseed SAQのシステムを活用して、回答結果に基づいたフィードバックや是正に向けた対話ができる仕組みを作っていきたいと考えています。
上嶋様: Dataseed SAQを「一過性のアンケート」ではなく、「サプライチェーン全体のリスクを継続的に把握し経営判断に繋げる中核システム」と位置づけています。また、これからは各事業部の環境部門や調達担当者に直接システムを操作していただく形へ移行し、全社的な取り組みへと昇華させていきます。現場から上がってきたSAQの定性データを私たちが集約して内容を整理し、背景やポイントが伝わる形で提示することで、より「タイムリーかつ経営判断に資する情報開示」が可能になります。 情報開示はステークホルダーへの責任であると同時に、サプライヤー様へのエンゲージメントとしても重要です。ゆくゆくは統合報告書などでの開示を見据えており、その際のアウトプットの見せ方についても、ゼロボードの皆様から引き続きコンサルティングなどのアドバイスをいただきたいと期待しています。
── 最後に、これからSAQ導入を検討されている企業へメッセージをお願いします。
宮田様: SAQの必要性は理解していても、実務負荷やサプライヤー様への負担の懸念から二の足を踏んでいる企業様も多いと思います。しかし、システムを活用することでそれらの負担は大幅に軽減され、初めての導入でもスムーズに取り組みを進めることができます。集まったサプライチェーン上のデータは、リスク管理のみならずバリューチェーンとしての強化や企業価値向上における重要な経営判断材料となります。
当社は、継続したシステム開発の姿勢はもとより、運用面のサポートも手厚く伴走いただけるゼロボード様との協働が、「サプライヤー様との関係をバリューチェーンに変えるものになる」と導入を決めました。
様々な業界や業種が本質的なSAQを導入することで完成度や価値も高まると期待を寄せていますので、サプライヤー様との持続可能な関係構築を目指されている企業様は導入をご検討されてはいかがでしょうか。
支援内容はご契約いただくプランやオプションによって異なります。
ゼロボードではコンサルサービスを含め、お客様のニーズに合わせて、様々なオプションのご案内も行っております。