環境対策のCDPスコアとは? 気候変動対策の評価基準を解説

CDPスコアとは?
CDPスコアとは、企業や自治体がCDP(Carbon Disclosure Project)に提出した環境に関する情報開示の内容をもとに、気候変動への対応状況を8段階(A〜D‑、F)で評価した指標です。
気候変動への対応が求められる中、企業の環境対策を定量的に評価する仕組みとして注目されています。
スコアは毎年見直され、企業の気候変動対策の進捗やガバナンス体制、排出量データの質などが総合的に評価されます。
CDPスコアは、ESG投資家や取引先が企業の環境対応力を判断する際の重要な材料とされており、グローバルな信頼性評価にもつながる指標です。
CDPの質問書とは
質問書に回答する企業は、金融機関や購買企業、銀行などからの回答要請によって決まります。また、要請のない場合は自主的に回答することも可能です。
これまで質問書は「気候変動」、「フォレスト」、「水セキュリティ」の3つに分かれていましたが、2024年から1つに集約されています。これにより、複数の環境問題を総合的に捉えることが可能となりました。
また、中小企業のリソースに合わせた質問書として、同年からSME質問書が導入されています。この質問書では、気候変動に焦点を当てることで、今後どこに着目すれば良いかが容易に理解できるようになっています。
CDPスコアとは
CDPでは、企業が提出した質問書の回答内容をもとに評価します。スコアは以下の4つの評価段階に基づいて決定され、8段階(A〜D‑)で評価されます。
上から順に評価が高いものになっており、回答を提出していない場合は「F(無回答)」という評価になります。
〇A、A-:リーダーシップレベル
環境問題の管理においてベストプラクティスを行っていることを示す。環境問題について自社の事業に沿った理解をしており、その認識や実行したアクションについて説明できる。
〇B、B-:マネジメントレベル
環境リスクやその影響に対するアクションをとっていることを示す。環境リスクやその影響をトラッキングし、緩和したりなくしたりしようとしている。
〇C、C-:認識レベル
事業で環境問題の影響を考慮していることを示す。開示による透明性を高めるところから進んで、環境問題に関する認識を深めている段階。
〇D、D-:情報開示レベル
回答の完全性を示す。データの信頼性と品質の向上を推進。質問書に回答する準備ができているが、スチュワードシップに向けた努力は成熟していない。
〇F:無回答
CDPの回答対象となる企業
CDPへの情報開示は、もはや大手企業だけの課題ではありません。CDPはもともと上場企業を中心に情報開示を求めており、2021年には日本の約500社が回答対象でしたが、2022年以降は東証プライム上場の1,841社すべてが対象となり、全世界では約2万の企業・自治体が質問書に回答しています。
さらにCDPは「サプライチェーンプログラム」を通じて、大手企業と取引のある中小企業にも情報開示を促しています。企業のCO2排出量はサプライチェーン全体で評価されるため、今後は取引先からCDP対応を求められる可能性が高まっています。とくに大手企業と取引がある場合は、早い段階からCDPへの理解を深め、対応を進めておくことが競争力の強化につながります。
CDPスコアを上げるメリット
CDPに回答するメリットは、大きく分けて3点あります。
1.信頼性の向上
高いCDPスコアは、企業が気候変動対策に真剣に取り組んでいることを示します。これにより、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資を重視する投資家からの信頼を得やすくなります。
2.企業ブランドのイメージ向上
高いCDPスコアは、企業が環境保護に積極的であることを示す指標となり、ブランド価値を高めます。これにより、環境意識の高い消費者や取引先からの評価が向上します。
3.常に最新のフレームワークによる判定が可能
国際的なイニシアチブやユーザーからのフィードバック、最新の環境科学等を反映し、毎年質問書の見直しを行っているため、回答作業を通じて新たな改善点を発見することができます。
CDPは、企業の環境パフォーマンスを評価するための国際的なプラットフォームとなっています。CDPに回答することで、投資家や顧客といったステークホルダーに対する企業の評価や信頼性を上げるだけでなく、企業自体の経営効率やリスク管理にも影響を与えることができます。
CDP回答支援がご希望の企業様はゼロボードにご相談ください。



