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コラム

TNFDとは何か?企業経営における自然資本とネイチャーポジティブの重要性

目次

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)とは?

TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)は、企業や金融機関が自然資本や生物多様性に関するリスクと機会を適切に開示し、投資判断や事業戦略に組み込むための枠組みです。これは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)と同様に、環境要因が企業経営に与える影響を明確にし、長期的な持続可能性を確保するための取り組みです。

企業は事業活動を通じて自然の恩恵を受ける一方で、その影響が生物多様性の損失を引き起こす場合もあります。この課題が世界的に顕在化する中、TNFDは企業に対して自然資本の評価とリスク管理の枠組みを提供し、より持続可能な経営を促します。

企業にとってTNFDが重要な理由

(1) リスク管理とレピュテーション向上

企業活動が自然環境に及ぼす影響は、規制リスク、物理的リスク、評判リスクとして現れます。たとえば、森林伐採や水資源の過剰使用が環境団体からの批判を受け、ブランド価値の毀損につながることがあります。TNFDの枠組みを活用して、環境リスクを適切に開示することで、投資家や消費者からの信頼を維持・向上させることができます。

(2) 規制対応と投資家の要求

EUや各国の政府が生物多様性保全を重視する規制を強化する中、TNFDに沿った情報開示は企業のコンプライアンス対応において重要となります。また、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大に伴い、投資家は企業の環境リスクをより厳格に評価するようになっています。TNFDに準拠することで、資本市場における競争力を高めることができます。

(3) サプライチェーンの透明性向上

多くの企業が自社の直接的な環境影響だけでなく、サプライチェーン全体での影響を考慮する必要に迫られています。特に農業、製造業、エネルギー業界では、原材料の調達プロセスが生物多様性や自然資本に大きな影響を与えるため、プライヤーとの協力を強化し、持続可能な調達を実現することが求められます。

ネイチャーポジティブとは?

TNFDと並ぶ重要な概念として、世界的に「ネイチャーポジティブ(Nature Positive)」が注目されています。これは、生物多様性の損失を防ぎ、自然環境を回復・強化することを目指す概念です。2022年の生物多様性COP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組み(GBF)」では、2030年までにネイチャーポジティブを実現することが掲げられています。
企業にとって、ネイチャーポジティブへの取り組みは単なる社会的責任ではなく、長期的な競争力向上にも寄与します。具体的な施策として、以下のような取り組みが考えられます。

リジェネラティブ農業 
土壌の健康を改善し、炭素隔離と生物多様性の回復を両立する。

生物多様性クレジットの活用 
森林保全活動に投資し、環境負荷のオフセットを図る。

TNFD対応の企業戦略
財務情報と自然資本データを統合し、持続可能な成長戦略を策定する。

企業は自然資本をどのように活用・保全すべきか?

(1) 自然資本会計を導入する

企業が森林、水資源、生態系サービスの価値を財務指標に組み込むことで、環境負荷を定量的に把握しやすくなります。TNFDのフレームワークを活用することで、企業の経営判断に自然資本の要素を組み込むことができます。

(2) GHG排出量算定と組み合わせる

企業がGHG排出量を正確に把握し、削減目標を設定するためには、GHG排出量の算定が重要です。TNFDに対応した指標を活用することで、企業は自然資本と気候変動対策の両方を考慮したサステナビリティ戦略を策定できます。

(3) サプライチェーン全体の環境影響を可視化する

調達先の環境負荷を評価し、持続可能なサプライチェーンを構築することは、企業の長期的な価値向上につながります。例えば、持続可能な木材や再生可能資源の活用を促進することで、環境リスクを低減できます。

まとめ

TNFDは、企業が自然資本のリスクと機会を管理し、持続可能な経営を実現するための重要な枠組みです。生物多様性の損失が深刻化する中、ネイチャーポジティブの考え方を取り入れることは、企業の競争力を強化し、規制対応をスムーズにする鍵となります。



ゼロボードは、GHG排出量算定の専門性を生かし、TNFDに対応した企業の環境経営を支援するソリューションを提供しています。持続可能な未来に向けて、企業の取り組みを加速させるパートナーとして、引き続き貢献していきます。
ゼロボードのシンクタンクであるゼロボード総研は、自然資本の保全と持続可能な利用を目指して、共に学び、研究し、行動するためのプラットフォームとして自然資本研究会を設立しました
参加企業とともに自社に適したTNFD開示を考えるなど、継続した活動に取り組んでいます。
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<出典元>

外務省ー生物多様性条約第15回締約国会議第二部等の結果概要

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ge/page22_003988.html