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バッテリーのCFP算定を巡る国内外の動向と今後の展望

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ゼロボード総研 シニアフェロー 磯部眞弓

私の解説「バッテリーのCFP算定を巡る国内外の動向と今後の展望」が日本LCA学会誌 21巻2号(2025年4月号)に掲載された。

本解説は、製品のカーボンフットプリント(CFP)が定量的に気候変動への影響を示す手段として注目されている一方で、これまで統一的な算定手法の欠如により法規制としての活用が難しかったことを指摘した。近年、欧州ではCFP算定の情報基盤が整備され、EU規制の中でCFPが導入されつつある。

特に、以下の3つの制度について解説した:

  1. CBAM(国境炭素調整措置):鉄鋼やアルミなど一部輸入製品に対しCFPの報告と炭素価格の負担を義務づけ。
  2. 欧州バッテリー規則:バッテリー製品にCFPやライフサイクル全体の排出情報の提出、一次データの活用、トレーサビリティ強化。
  3. エコデザイン規則(ESPR):域内流通製品に対し、耐久性・リサイクル性・CFP等を含むデジタル製品パスポートでの情報開示を義務化。

また、自動車業界におけるCFP算定の国際的調和や、グローバルな制度動向にも触れ、今後の制度化と実務対応の方向性を提言した。

以下リンクから全文をご覧いただきたい。
日本LCA学会誌21巻2号 特集「バッテリー循環システム」
バッテリーのCFP算定を巡る国内外の動向と今後の展望
株式会社ゼロボード 磯部 眞弓
https://www.jstage.jst.go.jp/article/lca/21/2/21_80/_pdf/-char/ja

これは2025年1月に執筆したものであり、その後、欧州ではオムニバス法案が提案され、簡素化しようという動きがある。しかし、長期的に見れば向かっている方向は変わっていないことに注意したい。

  • 記事を書いた人
    磯部 眞弓(ゼロボード総研 シニアフェロー)

    製造業/研究開発部門にて、LCA業務に約20年間従事。製品LCA算出方法を確立し、第三者認証取得、研究段階におけるLCA試算などに携わる。併せて、渉外業務、学会業務など幅広い活動を経験。LCA/CFPのエキスパートとして、製品・サービスのLCA算定支援を担当。元日本LCA学会理事。筑波大学大学院 環境科学研究科修了 修士(環境科学)